私達の便利で快適な生活は、半導体が支えています。デジタル情報があるところはもちろん、地球環境を守るカーボンニュートラル社会の象徴として注目される電気自動車にも、多くの半導体が使われています。
半導体は厳密にいうと、電気を通す「導体」と電気を通さない「絶縁体」の中間の性質を持つ物質です。この物質を使った作られた部品や回路も、半導体と呼ばれています。半導体には用途によっていくつかの種類がありますが、ひとつの製品ができあがるまでには、いくつもの工程が存在します。各工程は、世界の様々な企業が担っています。そのどれかひとつが欠けても、半導体は完成しません。
半導体が直面する課題の1つは「微細化」です。より多くの情報を素早く処理するために、半導体は回路を細かくすることで進化してきました。ニューフレアテクノロジーは最先端の半導体を量産する際に不可欠な、回路の原板として使用するフォトマスクの分野で業界の一端を支えてきました。

1980年から2020年にかけて半導体産業は驚異的な成長を遂げました。半導体の進化は、コンピューターの性能、通信技術、医療、エネルギーなど多岐にわたる分野で革命的なメリットを生み出し、新技術の牽引役として、半導体は現代社会の基盤を築きました。今後もEV自動車や宇宙開発、人工知能などの新たな技術分野の成長を支える役割を担います。
半導体のキホン
半導体にはいくつかの種類がある
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ロジック半導体
情報を処理する頭脳にあたる機能を集積した半導体。CPUは心臓部としてスマホやPCに搭載される。画像の高速処理に特化したGPUは、ディープラーニングの膨大な演算処理に適しているため、近年AI開発にも用いられるようになっている。
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メモリ半導体
情報を記憶・蓄積することを目的とした半導体。電源の有無によりデータが消えるRAMとデータが消失しないROMとに分類される(DRAMとフラッシュメモリ等)。ビッグデータや写真・動画の増加で需要が拡大している。
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パワー半導体
大きな電流や電力を扱うことを目的に作られた半導体。主に電気自動車や電車に搭載される。電力のオン・オフを切り替えるスイッチの機能を持ち、無駄な消費電力の削減や、ロスを軽減。脱炭素社会・次世代への役割を期待されている。
ウェハ薄膜形成
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- 半導体の回路は、シリコンの単結晶でできたウェハと言われる円形の薄い板に転写されます。半導体の用途によって、様々な加工を施されたウェハが使われます。その中でもSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を成膜したウェハは化合物半導体ウェハといい、発光ダイオード(LED)や電気自動車や電車などのパワー半導体に使われます。
エピタキシャルとは「〇〇の上に」というギリシャ語で、エピタキシャル成長とはウェハ上に結晶を成膜することをいいます。エピタキシャル成長装置の中では、流れるガスがウェハにある単結晶と同じ面方位をもつ単結晶の層を上部に成長させます。
エピタキシャル成長装置
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EPIREVO™S6 -
EPIREVO™G8
当社のエピタキシャル成長装置「EPIREVO™」シリーズは、ウェハの高速回転により、高速成膜・高均一性を実現し、世界で高い評価を得ています。電気自動車・5G通信等の拡大に伴い、従来のSiよりも高耐圧/高周波数動作が可能なSiC/GaNのパワー半導体の需要が急拡大しています。
フォトマスク回路パターン描画
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- 半導体を量産するには、回路が描かれたフォトマスクにレーザー光を当て、ウェハにいくつもの回路パターンを転写します。写真に例えると、フォトマスクはネガフィルムのようなもの。
転写されたウェハを断裁・分割したものが、ひとつの半導体となります。大量生産される半導体に描かれる回路パターンの、元になるフォトマスクには、非常に高い精度が求められ、微細化が進む最先端の半導体を生産するフォトマスクは、ナノ単位(※花粉(約40μm)の4万分の1程度の非常に小さな単位)の細かさで描かれます。また、この微細パターンを検出するため、より高レベルの検査装置も併せて重要になります。
電子ビームマスク描画装置
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EBM™-9500 -
MBM™-2000
このフォトマスクを製造するのが、ニューフレアテクノロジーの電子ビームマスク描画装置とマスク検査装置。装置には電子ビームで回路を描くための、ナノレベルの技術が詰め込まれています。MBM™-2000は、3nmノード世代の先端マスク量産に対応したマルチ電子ビームマスク描画装置です。EBM-9500PLUSは、世界トップの描画精度を実現し、世界の先端マスク描画装置市場をほぼ独占しています。
半導体の未来をつくる
製造過程の最上流工程を担う、ニューフレアテクノロジー
半導体ができあがるまでには、膨大な工程があります。ニューフレアテクノロジーは、半導体の材料となるウェハとフォトマスクの製造装置で、最上流の工程を担っています。万が一上流で流れが止まれば、その後を担う工程に大きな影響を与えます。最上流にあるニューフレアテクノロジーには、半導体業界に対する大きな責任があります。
未来に向かって、進化し続ける半導体。ニューフレアテクノロジーが積み上げてきた技術は、私達が目指す豊かな世界をこれからも力強く支えていきます。
