山田 拓 山田 拓

描画装置技術部 システム技術グループ

理学研究科卒
山田 拓

真空中で電子ビームはどう振る舞うのか

私は24歳のときに入社し、現在6年目になります。こちらでは電子ビームの振る舞いに関する要素技術開発を担当しています。真空中で電子ビームがどんな影響を受け、どう振る舞うのかを研究することで、描画精度や安定性を上げることを目指しています。描画装置の部品としては、「真空系」と呼ばれる真空中に置かれている部品(カソード、電子光学部品、真空ポンプなど)を主に対象にしています。
開発テーマの中でも大きなウエイトを占めるのが、お客様の工場で稼働している装置に発生したトラブルの原因調査です。問題を起こしている現象を理解し、それを解決することがより高精度な描画装置の開発につながります。

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ナノメーターを制御するおもしろさ

仕事の醍醐味は、ナノメーターを制御するおもしろさですね。電子ビームは様々な状態変化の影響を受けてフラフラと動いてしまいます。これをビームドリフトといいます。ビームドリフトは、磁場、振動、気圧など、自然界の様々な要因によって起こります。教科書の理論通りに軌道を計算し、装置に落とし込んでも結果は予想を裏切ることが少なくありません。台風や雨による気圧の影響も受けるので、窓のないクリーンルームにいてもビームが動くことで天気がわかるほど繊細なんです。
開発の現場では、描画結果やビーム測定結果をみながら、ビームが意図どおりにならない原因を探っていきます。原因を探るのに、1年以上かかる場合もありますが、現象が理解できればそれは装置開発にとっては大きな一歩です。技術的に正しいことに行き着くと、すべての理屈が通る瞬間があるんです。そこに毎回、技術者としての大きな達成感を感じます。

半導体社会の根本を支えているという緊張感

大学時代は物理学を専攻し、加速器を用いた原子物理学の研究を行っていました。いまの仕事に通じる点も多く、基礎知識は共通していると思います。とはいえ仕事の現場では物理に留まらず、メカトロニクスや電気・電子といった分野の技術者とコミュニケーションをすることが多いですね。特にトラブル時は各分野の技術者が連携し、どこに問題があるのか、どこを変えればよいのかを徹底的に議論しながら解決にあたっています。
ニューフレアテクノロジーが製造する電子ビーム描画装置は、半導体社会の根本を支える大切な役割を担っています。便利な生活の源泉であるからこそ、お客様の工場で装置が止まることは許されません。こうした緊張感や責任感が次世代の装置開発への大きな原動力となっています。

山田 拓

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