池田 迪彦 池田 迪彦

描画装置技術部 データ制御技術第一グループ

理学研究科
池田 迪彦

より早く、より正確に電圧を切り替えるDACAMP

私は2017年に入社し、現在は電子ビーム描画装置のDACAMPの開発に従事しています。DACAMPは電圧を発生させ、マスクに描画を行う電子ビームの角度変更や位置決めをする装置で、高速かつ高精度に高電圧の出力を発生させるアナログ回路です。より早く、より正確に電圧を切り替えることができれば、その分描画速度が上がる重要なパーツです。端的に言えばDACAMPは求められる電圧を出すだけの装置で、見た目も取手がついたただの箱(笑) でもどれくらいの電圧をどのように出すかで設計思想が異なる、不思議な奥深さを持っています。

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純粋な物理現象である電子ビームの魅力

大学では原子核物理の研究をしていました。粒子ビームを何かに当てて飛び散ったものを分析し、物理を解き明かそうとしていたんです。研究室では粒子ビームが当たったときにでる放射線を検出する装置を作っていました。この研究を通じて、純粋な物理現象であるビームに大きな魅力を感じたんです。就職活動で「おもしろそうなことをしている企業」を探していたところ、ニューフレアテクノロジーに出会いました。ここなら興味のあるビームに関わる仕事もできそうだと思いました。
大学のときは物理学科で学んだことが、就職に直接役立つと思っていませんでした。研究室に入ってから検出装置を作ったり、実験・解析の過程で電子回路やプログラミングを学んだりしたんですが、研究のためになんでもやってスキルを上げていくという取り組みは、自分にとって大きな学びになりました。ニューフレアテクノロジーでも最先端の描画装置のために技術者があらゆることに取り組んでいると聞いて入社したのですが、まさにその通りでした。

複雑なアナログ回路に挑戦する醍醐味を感じてほしい

DACAMPにはアナログ回路ならではの難しさを感じることが多いですね。よく「技術者として一人前になるまでにはデジタル3年、アナログ10年」と言われます。デジタルは0と1の世界でデータのずれがわかりやすいんですが、離散値ではなく連続値をみるアナログ回路は使用している部品の誤差の影響を受けやすい特徴があり、とても複雑なんですね。性能がいいものを作ろうとするほど、部品がもつ誤差や環境の影響など、把握しきれないほどの要因に影響を受けてしまうんです。一般的にアナログ回路はノウハウの継承が容易ではないといわれていますが、技術資料をしっかり残すことでこれから一緒に働く人たちもアナログ回路のおもしろさを実感できる環境をつくりたいと思っています。

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