東矢 高尚 東矢 高尚

描画装置技術部 システム技術グループ 主任

理学系研究科卒
東矢 高尚

天文学の知識を活用し、鏡筒部の電子光学設計を行う

私は、描画装置の中にある、鏡筒部と呼ばれる部分を担当しています。マスクにパターンを描画する際、鏡筒部で電子ビームの位置や分解能の精度を上げ、正確な描画を実現します。電子ビームの精度は、この鏡筒部の電子光学系で決まるといっても過言ではありません。そのため鏡筒部には様々な電子光学設計が必要になります。
大学や大学院では、天文学を専攻し、望遠鏡の開発をしていました。天体望遠鏡と電子ビームマスク描画装置には、光学装置として共通する部分も多く、学生時代に学んだ光学と電磁気学の知識が仕事に役立ちました。望遠鏡と同様に描画装置の鏡筒部の中にはレンズがあり、そこを通る電子ビームを偏向器の電界または、磁界で曲げてパターンを描きます。このレンズや偏向器の形状や強さを決定し、鏡筒部全体での配置と組み合わせを、設計するのが私の仕事です。

  • 東矢 高尚
  • 東矢 高尚

電子ビームの位置誤差と偏向量はトレードオフ

描画装置内の電子ビームは、気圧変動や熱膨張による装置の変形や環境磁場の変動など、様々な要因の影響を受けます。狙ったところにビームが行かずにずれてしまうことを、ビームの位置誤差と呼んでいます。幾何光学的には、電子ビームは偏向器で曲げるほど、位置誤差が大きくなる傾向があります。つまりこのふたつはトレードオフの関係にあるんですね。そのため設計の重要な課題のひとつは、偏向量が増えてもビームの位置誤差が大きくならないことになります。
設計はまずレンズ、偏向器、そして様々な調整機器の順番で進みます。鏡筒部の中を通る電子ビームを制御するシステム技術の部門とは、鏡筒部開発の初期から実際のビームのデータの提供を受けてその結果をフィードバックするなど、深く関わりを持ちながら進めています。
設計した鏡筒部の中で起きる、ビームの位置誤差の原因を探るのは泥臭い作業です。鏡筒部内のどこに電子がたまっているのか、その原因は何なのか。描画精度を上げるために、トライアンドエラーでひとつずつ原因を探っていきます。

ディスカッションからアイデアを生み出す

この仕事の醍醐味は、常に新しいものをつくり続けるところですね。ルーチン化できない仕事にこそ、技術者としてのおもしろさがある。大局的な方針に沿って手探りで新しい装置の開発を進めていくのは、難しいですが大きなやりがいがあると思います。
ニューフレアテクノロジーが担っているのは、非常にニッチな分野です。電子ビームマスク描画装置の開発に携わった経験を持つ技術者は世の中に少ないですよね。そのため技術的な資料も少なく、自分たちが率先して開拓していかなければいけない世界です。難易度が高い分野だからこそ、これから入社する学生さんには、1人で孤独にがんばるのではなく、まわりの人に相談しながらアイデアを探っていってほしいですね。入社すると感じると思いますが、ニューフレアテクノロジーには部門を超えて技術者同士が議論できるフラットな社風があります。ぜひそれを活用し、未来を創っていく技術者の1人になってほしいと思います。

東矢 高尚

社員インデックスへ