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episode.2

協働プロジェクトの終了
助けがないゼロからの開発

NFFD技/ 設計グループ グループマネージャー
伊藤 英樹

ガスを使ってウェハに単結晶の膜を作る、エピタキシャル成長装置

1997年に入社してから、エピタキシャル成長装置に携わってきました。ニューフレアテクノロジーは半導体製造装置を扱っていますが、エピタキシャル成長装置もそのひとつ。ガスを使ってウェハ上に単結晶の膜を作るのがエピタキシャル成長装置です。エピタキシャル膜を形成した後、多くの工程を経て完成したウェハからチップが切り出され、半導体として様々なデバイスの中に組み込まれていきます。

ニューフレアテクノロジーが販売するエピタキシャル成長装置の特徴は、①ウェハ上部からの均一なガス流れ、②ウェハの高速回転、③ウェハ面内の均一な温度分布で、均一な成膜を高い成膜速度を実現しています。

伊藤 英樹

SiCという新しい分野に挑戦し、競合に勝てる精度に高める技術者の戦い

TFW装置技術部では、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)の2種類のエピタキシャル成長装置を開発しています。SiCは従来技術のシリコンより耐電圧や耐熱、駆動周波数に優れ、EVなど過酷な環境で使われるパワー半導体の材料として注目されています。

ニューフレアテクノロジーがこのSiCウェハ対応のエピタキシャル成長装置の開発に着手したのは、2010年。当初はSiCの成膜技術あるいはSiCを用いたデバイスを製品として使いたい複数社の顧客との共同開発から始まりました。約5年間に渡った共同開発の成果は、その後の装置開発への大きなステップとなったと思います。
共同開発後の社内開発は2015年から始まり、約2年間で販売に乗せることができました。SiCという新しい分野に挑戦するゼロからのスタートでしたが、共同研究での成果や顧客の要望を課題としてとらえ、それに応えることで膜厚やドーピング密度の高均一性、低結晶密度で競合に勝てる精度まで高めていきました。

伊藤 英樹

カーボンニュートラル社会の実現を背景に、活況が続くSiC市場

2022年頃から、SiCエピタキシャル成長装置の需要が大きく伸びているのを感じています。その背景のひとつは、カーボンニュートラル社会実現を目指す、EVの市場拡大です。耐電圧や耐熱に優れたSiCデバイスの採用は、あらゆるシーンでエネルギー効率を向上させ、地球環境を守る大きな役割を担っていくといえるでしょう。

装置の需要を押し上げているもうひとつの背景は、ウェハの大口径化です。半導体業界では一度に製造できるチップを増やすために、ウェハの口径は拡大する傾向にあります。通常、ウェハが大きくなれば、それに応じた装置が必要になりますが、ニューフレアテクノロジーのSiCエピタキシャル成長装置は、ウェハを高温に加熱するために炉内に複数のヒーターを設置する設計により、炉のサイズが大きかった。そこにSiエピタキシャル成長装置の6インチ(200mm)ウェハの実績を活かし、いち早く8インチ(200mm)への変化に対応できました。

SiCエピタキシャル成長装置のトップを狙える位置にいる今、
未来を創る仕事を楽しみたい人を求めています

EPIREVO™ S6の発売から5年が経過した今、開発や設計、製造、サービスの組織は数十人規模に成長しました。少人数の開発から始まったSiCエピタキシャル成長装置が、こうして花開いたことを、とても嬉しく思っています。いまでは多くのお客様に装置をご利用いただくようになり、お客様からの要望に対応しながら更なる安定稼働に向けて邁進しているところです。

SiCのパワー半導体の成長は、2030年以降も続くと予想しています。SiCデバイスを支える企業のひとつとしてお客様のニーズに応えていくためには、これまでの個人からチーム戦への変革が必要だと感じています。成長目覚ましいSiCの分野で、「まだ見ぬ未来を創る仕事」に興味を感じる方がいたら、ぜひ気軽に応募してほしいですね。

新しい領域に積極的に挑戦するTFW装置技術部では、積極的に特許を出願しています。定期的に国際学会にも出席し、開発成果を発表しています。これから入社する学生は、大学での研究と同じように国際学会で発表できるチャンスがあるかもしれません。ぜひ私たちと一緒に、新しい分野に挑戦することを楽しんでほしいと思っています。

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